「作りはちゃんとしているのに、なぜか問い合わせが来ない」
制作会社に頼んで、それなりの費用もかけて、見た目も整ったホームページができた。公開したときは「これで会社の顔ができた」と思った。
——なのに、問い合わせは月に0件か1件。採用の応募もほとんど来ない。
心当たりのある経営者の方は、少なくないはずです。そしてこう考えます。「デザインが古かったのか」「制作会社の腕が悪かったのか」「うちの業種はそもそもネットに向いていないのか」と。
結論から言うと、原因はそのどれでもないことがほとんどです。
多くの人が、原因を「作り」のせいにしてしまう
問い合わせが来ないとき、人はまず"作ったもの"を疑います。デザイン、文章、制作会社の選び方。たしかにそこに問題があるケースもあります。
でも、見た目がきれいで内容もそれなりに整っているのに成果が出ないサイトは、世の中にいくらでもあります。むしろそれが普通です。だとすれば、本当の原因は「作り」ではなく、別のところにあると考えるのが自然です。
本当の理由は、「作って終わり」になっていること
ホームページは、一度作れば完成する"看板"のようなものだと思われがちです。実際には、作った後に手を入れ続けて初めて成果につながる"育てるもの"です。
公開した瞬間が、情報としては一番新しい状態です。そこから何も更新しなければ、情報は古びていき、検索エンジンからの評価も少しずつ下がっていきます。検索エンジンは「更新され続けているサイト」を新しく価値のある情報源とみなすため、止まったサイトは時間とともに検索結果の下へ埋もれていきます。
つまり、問い合わせが来ない最大の理由は、作りの失敗ではなく——作った後に、誰もサイトを動かしていないことです。
立派なサイトを持っていても、放置されていれば「あるだけ」で終わります。逆に、シンプルなサイトでも毎月手が入っていれば、少しずつ問い合わせにつながる状態に育っていきます。
なぜ「放置」されてしまうのか
ここで大事なのは、放置は怠けているから起きるのではない、ということです。多くの場合、構造的に放置せざるを得ない状況に追い込まれています。理由は主に3つあります。
1. 制作会社の仕事は「作ること」で終わっている
多くの制作契約は、サイトを公開した時点で完了します。その後の更新や改善は契約に含まれていないか、その都度の見積もりになります。「作った後どうするか」は、最初から誰の担当にもなっていないことが珍しくありません。
2. 社内にWeb担当がいない
更新したくても、社内に手を動かせる人がいない。kubellの調査では、従業員10〜29人の企業の48.2%が「システム担当者がいない」と回答しています(※2)。専任を雇うほどの余裕はない、けれど制作会社に毎回頼むのも費用がかさむ——この板挟みで、結局止まってしまいます。
3. 何を直せば成果につながるのか分からない
仮に手を動かせる人がいても、「どこを、何のために直すのか」が分からなければ動けません。やみくもに更新しても成果にはつながらないため、判断できる人がいないと、そもそも一歩目が踏み出せないのです。
放置したままだと、静かに損をし続ける
更新が止まったサイトは、ただ"そのまま"でいられるわけではありません。時間とともに、いくつかの損失が積み重なっていきます。
ひとつは、信頼の低下です。プラストの調査では、ホームページがある会社を「信頼できる」と答えた人は79.8%にのぼる一方で、更新されていないサイトには「本当に営業しているのか不安になる」と感じる人が49.8%、「更新が止まった会社とは取引しようと思わない」と答えた人も32.6%いました(※1)。サイトがあること自体は信頼の材料になりますが、止まっていると逆に不信感を生みます。
もうひとつは、検索からの流入が細っていくこと。そしてこれからは、ChatGPTやPerplexityといったAI検索の影響も無視できません。AIに正しく読まれる構造になっていないサイトは、これらの新しい入口からも見つけてもらえなくなります。
放置は「現状維持」ではなく、機会を少しずつ手放し続けることなのです。
では、どうすればいいのか
ここで多くの人が「じゃあ作り直すしかないのか」と考えますが、そうではありません。必要なのは大改修ではなく、毎月少しずつ手を入れ続けることです。
具体的には、難しいことばかりではありません。
- 古くなった情報(料金・実績・サービス内容)を更新する
- 検索で探されている言葉に合わせて文章を調整する
- 問い合わせフォームまでの導線を分かりやすくする
- AI検索に読まれる構造を整えておく
一つひとつは小さな作業でも、毎月くり返すことでサイトは「問い合わせにつながる状態」へと育っていきます。大切なのは、一度に完璧を目指すことではなく、止めずに続けることです。
まずは「どこを直すべきか」を知ることから
とはいえ、「何から手をつければいいか分からない」状態が、実は一番もったいない状況です。動き出せないまま、サイトはまた一年放置されてしまいます。
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※1 プラスト「中小企業のホームページに関する調査」2020年(n=1,127)
※2 kubell「中小企業のデジタル化に関する調査」2025年(n=1,093)